ハリーポッター


『・・ダイアゴン横丁といってもいろいろな
 わき道や細い道がある。日によって開いている
 邪悪な通路に注意を』


ハーマイオニーは唇をかみ締めて
静かな道の真ん中に立ち尽くした
いつも行く買い物の場所だからと、
ダイアゴン横丁に繰り出し、

久しぶりの休日に気持ちの浮かれるままに
一人でぶらりと町を歩き本屋を冷やかしたり
得体の知れない露店をからかったり、

店先のかごに入った虫が細い声で歌う
店の宣伝を感心しながら聞いたりと
ウインドーショッピングをしていた彼女は
いつの間にか自分が得体の知れない
灰色の町に足を踏み込んだのに
気がつくのが遅れた

しかし魔法に自信があり、
かなり気の強い彼女が出した結論は
『歩けば開ける!』だった
歩けば歩くほど鬱蒼としたくらい道が広がり
物音ひとつしないいわば死んだ横丁に
ハーマイオニーはおびえ始めていた

おまけに霧のあちこちからヒソヒソと小さいが
悪意のこもった話し声がするようになってきていた

かび臭い香りが彼女の足元を掬うように流れ始め
意味のないクスクス笑いが遠慮なくあちこちから響いてきた
悪意と怯えと嫌悪感で鳥肌の立つ身体をこすりながら
ますます歩く速度が速める

『まずい 本当にまずい・・』
半泣きでつぶやくハーマイオニー

夢に出ること間違いなしのような状況だが
それも寮にかえることができればの話

『最低どうしよう』
思わずつぶやき立ち止まるハーマイオニー

『こんなとき あいつがいれば・・』

とうっかり同級生の顔を思い出して
眉を寄せるハーマイオニー

『なんであいつなんかおもいだしてんのよ!』
と思わず口に出したとたん

前方にほっとするような 白い光を見つける
出口を見つけた安堵で
思わず駆け寄って光をつかむ

『な なに?』
光は少年の形をとり
途端に街中の喧騒と町の暖かさと
喧騒の混じった空気の中に戻る

安堵の息をつくハーマイオニー
きょとんとした顔のハリー

あわてて泣き顔をこすりあげて
髪の毛をとかして身づくろいをするハーマイオニー
つんと顔を上げてハリーをにらむ

ハリーも買い物?強気なたいどがすぐでる
そっちこそうろうろしてたら変な商売人に
ひっかかるわよ
姉の態度

そっちこそ泣きそうな顔してしがみついてきたくせに
気がついてにやっとするハリー
さては迷ったな?
真っ赤になって怒る少女
二人とも自然に寮への道を歩きながら口論を始める

二人を引き止める声

いいものをあげよう
ハリーを見てうれしそうにする露店の人
露骨に嫌な顔をしようとして通り過ぎようとする
ハーマイオニー

わりと多い光景なので気にしないつもりで
通り過ぎようとするが
露店の雰囲気に呑まれてしぶしぶ足を止める
見れば店には キーホルダーが
灰色のテディベア

少女顔をしかめて
可愛くないとつぶやく
あわててたしなめるはりー

気にせず店主
どれでもすきなのを

いわれて取る二人

ハリーの顔を見て
この店に あなたがくるとは
お二人に幸いあれ
と本当にうれしそうに幸せのまじないの
しぐさをする店主

みればみるほどつるんとして
かわいげのないベア
困惑して顔を合わせる二人

息を吹きかけて

言う店主

こう?まずまねをする少女
かけたそばから ふわりとした毛が
ベアを包んで まぜんだれっど(チェリーより
ちょっと可愛い赤のイメージ)で首には
金色の蝶ネクタイをした
ベアにかわる

すごい!可愛い!と思わず喜ぶ少女
はっとして
まあこんなもんね と取り繕う。

笑いながらみていたハリーに
あなたもとすすめる

ちょっと渋い顔をしてためらうハリー
やってみなさいよと好奇心満々の顔をした
ハーマイオニーに促されて
いきをかける

鮮やかな緑からちょっと渋めの緑色
こちらはタオル地ベアに変わる

これはこれは うれしそうな店主
この色は今のお二人の気持ちを表しているのです
ぜひもちかえってやってください

ひるむハリー
寮に持ち帰ればからかわれるのは当然
反対にうれしそうな少女

じゃあわたしがもらってあげようか
といわれて あわててポケットにつっこむ

寮の朝
ハーマイオニーは、悪夢を見ていた
足が硬直し、胸に何かがよじ登ってくる・・

はっと目が覚めて軽い悲鳴を上げるハーマイオニー

彼女の胸元には 赤くて小さいキーホルダーのついたテディベアーが くるくる
とまわりながら
おはよーあさだよーあさだよーと 歌いながら踊っていた

なにこれ・・

キーホルダー熊をつまむハーマイオニー
途端にくにゃりと今度はオレンジ色にかわるベア
まだ朝だよーとかわいい声で歌ってジタバタしている


ふ ふざけてるわ・・

寝起きの顔のまま ベアを掴んでいたハーマイオニー
ベアにあたるのはさすがに気が引けたか
適当にベットを殴りつける

食堂
めをしょぼしょぼさせている
彼女にハリーが涼しげな顔ではなしかける
あのベアおもしろいねと 耳打ちする

『なんですって?低音で聞き返すハーマイオニー』

ハーマイオニーの目つきに思わず
たじろぐハリー

『あれは目覚まし時計のかわりにもなるらしいんだ
蝶ネクタイの説明書みなかったの?』

どうもハリーはもらった後
何か仕掛けがあったらと心配して
一晩中いじくりまわして知ったらしい

『蝶ネクタイはつまむと説明文字が
浮き上がってくるんだ』

律儀に説明するハリー
黙ったまま席に座り込むハーマイオニー
その力のなさに心配したハリー

『で ベアーは?』

と聞くハリーに
むっつりとしたまま ぽけっとから出すハーマイオニー
何枚にもかさねられた布がもこもこ動いているのを
目を丸くしてみるハリー

包まれた中から、鮮やかな紫色をしたベアーが
小さい声で歌いながらころんとでてくる
その姿に吹き出すハリー

『ベアーの頭をぽんとたたいて
声で 静かにっていってごらん』
という ハリー

はっとしたように ベアの頭を軽く叩く
ハーマイオニー


くるりと色がかわってこんどは茶色のチェック柄
になり、ぴたりと動くのをやめるベア

『なるほどー』

と素直に感心するハーマイオニーを見て
ふきだす ハリー

なんとなくむっとした顔だったハーマイオニーも
やっと静かになったベアを撫でながら
ぷっと笑い出す

『これからよろしくね』

と朝食の皿のとなりに
熊を置くハーマイオニー

新しい一日が始まる

今日のアイテム

ベアベア

朝の目覚ましに、恋占いに使えるアイテム



おわり




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