*エドとウィンリィが大人になっている設定です。


待つ相手がいるのはいいことだ
といったのは誰だったろう
俺は冷たい雨に濡れながら一人考えていた。
いや、むりやり
違うことを考えて追い出していたのかもしれない
こんなとき、いつも傍らで俺を見ている暖かい視線はない
不思議なもので、形や姿が変わってもその魂がいるというだけで
俺は落ち着いていることができた

でも今は、在るべきはずのなにかが すっぽり抜けていて
穴に冬の冷たい雨が降り注いでいる
この痛みはきっと何をしてももどらない
等価交換の 黄金の輝きでさえも 心を埋めない


右手を無意識に触る
冷たい鋼の輝きは魂の一部となって
20数年の月日を過ごしてきた

エド

そんなに虚ろな目で見ないで

俺はそんなに虚ろな顔をしているのか
情けない顔をしているのか

おさななじみの声
俺の新しい命を宿した女

長い間見ていたのか ウィンリィはおずおずと
俺の右手と左手を取って腹部に当てる
神聖な毎日の儀式
俺の両手に感じるはずの なにか


エド 早く大きく育って
私と私の子どもと同じように 彼女の涙が俺の手のひらに当たる

この世界が終わるまで私は永久にあなたのそばに
エドワード
そしてこの子も あなたのことを見ているわ

ねがわくば 私のこのことばが あなたの真理になりますよう

ウィンリィの声は優しく俺の耳を通り過ぎていくのだった

抱きしめても抱きしめてもまだ 何かが足りない
気がつけば俺も泣き、女も泣いている
なきながら抱き合いそして
明日になれば同じことを繰り返す
時間が残酷に自分たちの形を変えていくのを
二人は怯えと喜びの中でさまざまと感じていた

動く日を見つけなければ
この子の名前は決まっているのだから

今度は 誰にも負けない
父親になろう

少しずつそう思える
いいよな アル





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