ホーエンは泣き始めたイズミを抱きしめ
耳にささやく

「・・最後にあなたに会いたかった
エドワードとアルフォンスを立派に
導いてくれたあなたに・・
母親であるトリシャの分まで
感謝の言葉とお詫びを」

おでこにキスをするホーエン
「さようなら イズミ」


おとなしく目を閉じて『パパ』のキスをもらうイズミ

「すまない もう時間だ」

立ち上がるホーエン
服やズボンの砂がぼろぼろと落ちる

「ぱぱ もういっちゃうの?」

イズミは無邪気な声できく
立ち上がったホーエンの
指を掴んで離さない

「・・おしごとなんだ
また会おう。約束するよ」

暖かい手で目をふさがれるイズミ

「これから数を数えるとあなたは
今のことをすべてわすれる」

ホーエンの声が聞こえる

「ひとつ」

どこかで世界がきしみ
扉が開き始めた音がする


ふさがれたホーエンの手の端から
イズミの涙が二筋こぼれる

『さよなら』

「ふたつ」
ホーエンの身体に黒い触手が巻きつく
急に遠ざかる声

「みっつ」

ばたんと閉じる音


自宅のベットの上ぱっと 目を開けて布団を跳ね上げるイズミ
目から涙がこぼれている

隣で寝ていた旦那が気配で目を覚ます
「どうした イズミ」

黙ってシグの胸ににすがりつくイズミ

「・・わからない わからないけど悲しいの」

泣きはじめるイズミ
黙ってイズミを抱くシグ


・・『彼』がこの世界から消えたことをまだ誰も知らない


[ 無題:・2 ]




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