晴れた空にそよ風

運動場の隅っこ
黙って猫の死体を降ろすとエドは
もくもくと指で土を掘り返し始める

おい 指が
錬金するのかと思っていたハボックは驚くが
頭をぼりぼりかいて うーんとうめいたあと
仕方ないおれもやるか
と腕まくりをしてエドと土をほりはじめる
わりぃ
まだ下を向いたままのエド
ハヤテも土を掘るのに参加

花を添えると エドの背中のこわばりがやっと取れる
しゃがんだまま動かないエド
指を汚したまま声をかけづらいハボック
綱を解かれたハヤテ号がうれしそうに後ろを
駆け回っている音がする

おれさ とエド
小さい頃こうやってアルと墓を作ったよ
捕まえた虫やおもちゃなんかを見立ててさ
しおれた花を供えて
最後に埋めたのは 母さんだった・・・
乾いた声のエド
俺はあと何人の墓を見ることになるんだろう
なんて つい思っちゃって・・それで・・

黙って話を聞いているハボック

なんでだろうこんなこといって
ごめんな ハボックも困るだろ

いや べつにこまんねぇよ

距離が遠いと思いながらハボック
俺も軍人でいろいろな死体を見ている
墓も

覚悟はできている
きっぱりというハボック

強い言葉に背中をびくりとさせるエド

でもな そんな俺だってたまには
命を思い出してやりたい
そういう時もある

エドの側にしゃがみこんでそっと 一本の花のそばに
摘んだ花を供え、
土の盛り上がりをじっと見つめるハボック

あんまり思いつめるなよ
心の中で付け加える

どうした二人ともそんなところで
抜けた声をかけてきたのは大佐
みれば 紙袋もち
目ざとく墓をみつける

なんかの墓か?

そっちこそ 書類はいいんすか
大佐妙にうれしそうに

私のご飯なのだといって 紙包みの中を見せる
アンパンと三角パック牛乳をみて脱力するハボック
頓着せずアンパンをその場でかじり始める大佐
まあそりゃいいが 何の墓だ?
口いっぱいにほうばりながらしゃべる大佐を
あーあという顔でハボックが見つめ

いいから大佐 部屋に戻ってからくいましょうよ
と背中を押し始める
まて ハボック服に土が
押されながらロイ、首をちょっと曲げてお辞儀をする
いいからいいから そのままじゃみっともないですよ
とハボック なんだと?!とロイ

振り返り、じっとその様子を見ていたエド

やっと笑顔になる
なにやらもめている二人の腰の辺りをたたいて
かえろう
と促して歩き出す

墓に添えた小さな花たちが風に揺れていた


終わり


[ 晴れた空にそよ風:・3 ]




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