孤独の黒猫


馬鹿な軍のお兄さんだね 猫はチョコなんて食べないよ

下を向いていた大佐には
猫の側にすらっとした白い素足
しか見えず、困惑した大佐は買い物袋を抱えたまま
眉をひそめる

いつからいた・・?気がつかなかったが
腹のそこでつぶやきながら顔を上げて傘を上げる

黒猫を抱えるやせっぽちな長髪の子供 

ああ 可愛い顔してんなおまえ と猫に話しかけている
ところはまったく普通の男の子のようだ

酷薄そうな眼の輝きと食えなさそうな
顔つきからロイは狐を連想した
無意識のうちに軽く右足を引き
右手を開けようとして四苦八苦する大佐

よくみればその子供の肌は雨の中にいるのに濡れていなかった
おとなしくしている黒猫の頭を指でいじりながら
ロイの反応を唇を吊り上げながらおもしろそうに見守っている

見ているうちに男の子の髪の毛が
しっとりと濡れてつややかになっていく
猫の毛と同じように

誰だ お前は・・何故私が軍の人間だと思った
お兄さん本気で言ってるの?その服を着ていれば
誰だってわかるだろ
お前は誰だ
俺・・?おれは 通りすがりの猫好きな男の子っすよ
かったるそうに言う男の子

名前をきちんと言ったらどうだ
と 柄にもなくいらだち声を上げる大佐

しょうがないなぁ・・と ふっと大佐が瞬きをした
次の瞬間に 大佐の傘の中に入って顔を近づけていた

俺の名前は エンヴィよろしく

低い声で耳元にささやく
いつの間にかエンヴィの手は傘を差している大佐の腕を
取っていた
気がつかずエンヴィを凝視する大佐
かまわずに続けるエンヴィ

軍のおにいさんは知っている?
猫というのは人に手を加えられて生きながらえている種族なんだ
つまり 人に生かされている
犬も同じ手を加えられた生き物だけど自分の位置を心がけているよね
でもどちらも野生を抜こうとしてもしょせんは野生

軍のお兄さんも気をつけないと
一生狗のままかもしれない
部下のひとたちもいつまでお兄さんに仕えてくれるかなぁ・・

気をつけなよ
ぐっと大佐の耳元に唇を近づけるエンヴィ
低く鼻にかかった声

敵は近いところにいる

にゃああと高くなく エンヴィの懐の猫

お前はなにを・・絶句してエンヴィの顔を見つめ
はっとする大佐
紫の人ではない瞳そして 動物のような縦の虹彩

[ 孤独の黒猫:・2・ ]




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