無題

「改めてお伺いしますが、
私に 親友のロイ大佐の様子を偵察しろとおっしゃるんですね
「改めて命令しよう。
君に ロイ大佐の行動を観察して報告してほしい」

気を取り直して声を上げるヒューズと
ブラッドレイの声が重なる

あくまで穏やかなブラッドレイ。
あまりに冷静すぎて一瞬われにかえるヒューズ
ブラッドレイの片目はどこまでも冷たい
ヒューズも負けじと怒りの炎を掻き立てる

「なぜ 私にそんなことを命令するのですか」

激怒して用意していた分厚い資料を握りつぶし
運上人にも近い男に顔を近づけ激しく抗議するヒューズ

「ロイ大佐の業績はよく知っているし彼の願望もよく聞いている。
彼の誠実さや人となりもそれなりに把握しているつもりだ」
淡々と説明を続けるブラッドレイ
「しかし私以外には、大佐が食わせ者でそのうち
牙をむくのではないかと心配し始めている一族もいる
そして私が大佐を煽っているのではないか・・とな」
聞いているヒューズ
今度は別の冷や汗が背中を滑り落ちるのを感じる

「それは 大佐が軍に反旗を翻すと、そうおっしゃりたいのですか?」
今までの勢いもなく細い声でそれでも
「違う!」という想いを込めながら叫ぶヒューズ
レポートを掴む手が白くなる

「その疑いを払拭し、信頼をさらに強くしたいからこそ
私は彼の野心や気心を知る相手から
大佐の正確な行動のレポートと機密事項を送ってもらいたいと
そういっているのだよ」
ヒューズを見つめるブラッドレイ

「君は私が下世話な理由でこんなことを頼むと思ったのかね
もっと賢いと思ったよ・・」

ぼそりとつぶやくブラ

「大体君は軍への忠誠と大佐への忠誠と
どちらを取るつもりなのかね」

顎の下で組んでいた手を机に置いて
ヒューズを睨み低い声で威圧したあと
疲れたようにため息をはきながら

「もういい加減友情ごっこはやめたらどうだ」
と一言

言葉に詰まっていたヒューズだが
真っ青になった後真っ赤になるヒューズ

「私のことはいくらでも言ってもいい
しかし あいつのこととは・・それは訂正してください」
無言で見つめるブラッドレイ

脳みそに血が上がるヒューズ
襟首を掴み揺さぶりかねない勢いで
ブラッドレイに抗議しようとするが
さすがに流暢な言葉が出ないか

「申し訳ないのですが
暴言になると申し訳ないのでこれで失礼します」
こぶしを握り締めて声を上げ

一礼して激しい勢いで執務室を出るヒューズ

立ち上がって声をかけようとしている秘書を無視し
扉をたたきつける

[ 無題:・2・ ]




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