いいたくないと思う気持ちと
おもちゃを手に入れた優越感が
俺の心を分裂させる
俺の口は自然にゆがんだ笑みを作り
何気ない悪意をはらんで流れた

「・・こいつ 自分からクスリを飲んだ」

ダンテの反応を見たくない一心で
エドの金髪をみながら
手に入れたおもちゃを自慢するように


「しかも俺の目を見ながら・・さ」

エンヴィの耳に少年の声がよみがえる

「俺の心と身体が追いつかないくらい
愛してる」

「だから お前に やる」

本物の金色の瞳がひたと 俺を見て・・

俺のまるで独り言のようなせりふに
付き合うかのように軽く拍手をするダンテ
鈍い拍手の音が部屋の中に響く

「素晴らしい兄弟愛じゃないの」

口調に膨れ上がる吐き気を伴う不信感に
俺は隠すことなく下を向いたまま眉をしかめる

かすかに軋む布のすれる音に俺は
はっと正面を向く

俺の頭を引き寄せてキスをするダンテ
口の中一杯に広がる腐臭


「・・・馬鹿じゃないのかお前」

目を開いたまま 静かな声で言う俺

「あらん いまさらじゃない」

静かに俺の唇から身体を離し、
自分の唇に指を当てて笑うダンテ
陶磁器のような白い肌と黒く短い髪
ただその瞳は揺るがない蒼い色をして
俺の爆発寸前の顔と黒い髪を映す

「そして私のもう一人の子供にも」

かがんだダンテを俺は
思いがけない力で張り飛ばす

ベットから吹き飛ばし壁に叩きつけられる
ダンテ


「やめろといっただろう!」

部屋中の空気を震わすような怒りの声を上げる俺
自分でも意外なほど腹の奥からふつふつと
湧き上がってくる怒りに
やべぇとちらっと思うが止められない

「今度こいつに手を出したら殺す!」

俺の怒りとは逆に
白けた顔のままゆらりと立ち上がるダンテ


「いたいわね」

顔を押さえながら立ち上がり

にっこり笑う
手をそっとはずすと 左の頬が赤く染まっている


「いい加減にしなさい エンヴィ」
こちらの声はすべてを滅殺する声か

ベットの上と下でにらみ合いながら俺は
無意識にシーツを握り締めていた
いつの間にかじっとりと汗ばんできた手を
悟られないようにこすりつける

軋む空間

「ん・・・あ」

寝ていた少年のうめき声が空間を和らげる

一瞬にして今までの感情をそぎ落としたように
無表情になるダンテ

「いいわ エンヴィ今度また遊んで頂戴」

「・・この子を見て冷静でいられるとは
思えないもの」

唇をかんだような声で言うと
腕を組んで何事もなかったかのように
きびすを返すダンテ

無言で見送り、姿が消えると
全身の力をぬいてため息をつく
ようやく緊張していたことに気がついて
さらにむかっ腹をたて 俺は枕に拳を叩きこんだ


[ 無題:・3・ ]




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